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営業コンサルティングの真髄

営業コンサルタントが着目する製造業にみえる課題とは

製造業コンサルティング

日本の製造業、特に中小企業の競争力とは、優れた技術力や確かな品質面であることは疑う余地はありません。
このような製造業を一言で表すと、まさしく「技術集団」という表現がピタリとはまります。

確かに、「より良い製品、ものづくりを行うためにはどうすれば良いか?」…
まさしく製造業における原点であり、意識や資源を「そこに」集中させた経営スタイルが特徴的な業態でもあります。

その証拠に中小製造業を対象にした、ある機関の調査によると、自社の強みとして「技術力・開発力」を取り上げている企業が最も多いと言うのもうなずける結果です。
しかし、強みだけでなく「弱み」となりえる要素にも「ある傾向」が見えてきます。

それは、「市場を捉える意識」と、そこから派生する「営業」「販売」「マーケティング」の脆弱さです。

生産者第一主義は過去の産物?

まずは、市場を捉える意識から見てみましょう。
日本の製造業は、戦後の日本、高度経済成長を支えた最大の立役者だと思っています。
国民の所得が伸び、消費意欲も旺盛であった時代、「作れば売れる」という市場神話が具現化されてきたのも事実です。
まさに「生産者第一主義」が確立できた時代です。

しかし、昭和→平成→令和の変遷から、「今」を見てどうでしょう?
直感でお分かりになるかと思いますが、とてもじゃありませんが「生産者第一主義」で通用する時代ではなく、今はまさに「市場第一主義」こそ、生き残れる時代なのです。

もちろん、経営者の大半は「そんなの分かっている!」という方ばかりだと思います。
しかし、現実にはまだまだ「生産者第一主義」が根底にあり、それに気づいていないか、気づいていたとしても、何の取り組み方も変わっていない、そもそも「そんな捉え方をする概念すら持ち合わせていない」、と言った会社も多く存在するのも事実です。

この「主義転換」を図るためのキーパーソンは、経営者に他なりません。
まずは、経営者の意識や視点の方向をしっかり確立させ、それを打ち示すことで、全社的な意識改革と市場主義への浸透を図ることがセオリーであると言えるでしょう。

ロングテール戦略を見落としていないか?

  • 自社製品の優秀性、技術力、信頼度など、どう市場にアピールするか?
  • また、どのように訴求するか?
  • 市場の開拓、販路の拡大をどのように行えば良いのか?
  • 見積や引き合い案件をどのように獲得すれば良いのか?
  • どのように案件管理を行えば良いのか?
  • 顧客に対して、どのようなフォローを行えば良いのか?
  • それらオペレーション体制をどう構築すれば良いか?

これらの要素は、「技術集団」の視点においては「専門外」の領域であることが多く、意識の集中性や資源の分配性が最適化されていないことが、「弱み」に繋がっていると考えられます。

特に、二次、三次サプライヤーなど下請け型をメインにしている企業は、親会社を含めた少数大口取引先を持っているケースが多いのも事実です。
これは、持続的に収益源を確保できることが見込まれているため、営業やマーケティングという概念を深く追求する必要性がなかったのかもしれません。

では、もしも大口取引先を一つでも失ったら?
考えただけでもゾッとする話かもしれませんが、現実に起こり得ることなのです。

ロングテールの法則」と言うのをご存知でしょうか。
これは、「ヘッド」と呼ばれる売上上位領域と「テール」と呼ばれる売上下位領域を比べた場合、「テール」の方が総体的に大きくなると言う法則です。
ちょうど恐竜のしっぽ(=テール)をイメージするとわかりやすいかもしれません。
ロングテール戦略もちろん、すべてのケースがあてはまるわけではありませんが、少数の大口取引先ばかり目を向けるのではなく、多数ある小口取引先も同時に確保することが売上増大のカギを握ると言うことです。

営業部門の機能不全はプロセスにある!

中小製造業、特に2次、3次下請け型企業においては、「営業部門の機能化」が経営課題として取り沙汰されています。なぜならば、市場の現状、先行きを見据えたとき、収益向上、企業成長のカギは「営業」によるところが大きいと言えるからです。
逆に捉えると、「営業部門の機能不全」は、すなわち、「企業の弱体化」を加速させることに繋がります。

企業における営業部門の位置づけは、自社の優れた製品を市場にエントリーさせ、見込案件を作り出し、受注獲得により収益を生み出すためのプロフットセンターです。

中小製造業の組織体系を見ると、資材、生産、品質、製造、開発、設計、管理などを行う部門があるのは「当たり前」です。
しかし、「営業部門」においては事実上「機能していない」ところも多く見受けられます。
製造業の最も優れた点の一つに、生産・製造に係るプロセス管理があげられます。

材料調達から製造、出荷に至るまで、綿密な工程管理を徹底することで、万一、不良や不具合が発生した場合でも、工程をさかのぼり、いち早く原因を突き止め、対処改善に繋げることが可能になります。

「生産プロセス管理をどう高めるか?」

製造業において、ここに視点が向けられるのも当然と言えば当然ですが、製造業の場合、この生産プロセスの他に、もう一つ大事なプロセスを見落としてはいけません。

それは、「営業プロセス」です。

営業プロセスとは、案件をつくりだし、受注獲得までの一連の流れを示したものです。
生産プロセスにおいて、「可視化」の重要性は言うまでもありませんが、営業プロセスもまったく同じ考え方です。

しかし、現実には営業プロセスが「暗黙知化」されていることが多いのです。
暗黙知化による弊害は、万一、営業プロセス上で不良や不具合が発生した場合でも、責任の所在が不明確になり、問題の原因も見つけられず解決できないまま、改善機会も消失してしまうことに繋がります。
これは、営業部門の機能不全そのものと言えます。

営業部門の不在、機能不全に対する危機感は、個々の企業経営の考え方、現在の経営状態によっても捉え方は大きく異なります。
しかし、多くの中小製造業が「営業力」や「マーケティング力」に対する関心を深めているところから、「収益向上のカギがここにある!」と少なからず考えているからでないでしょうか。

ものづくり+αが市場価値になる/まとめ

中小製造業は、信頼性ある製品をつくることが至上命題とも言えますが、市場競争が激しい時代、+αの付加価値が必要になると思えます。
この+αの価値とは、「市場への貢献」です。
まず、「自社における市場とは何か?」をしっかり見定め、製品の発注者やその先の取引先、また、その取引先、そしてエンドユーザーへと消費される一連の流れから、「自社として何に貢献できるか?」という発想を持つことです。
それが、自社ならではの「リテールサポート」と言う付加価値となり、市場における自社の存在価値にも大きな影響力をもたらすことでしょう。

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