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法人営業を第一線でこなすための思考術②/法人攻略編

法人営業とBtoB取引

企業の営業活動とは、自社の事業戦略によってターゲットとする顧客の属性が異なります。おおまかには「法人(顧客)」か、「個人(顧客)」かに大別され、その異なる属性によって営業活動における「思考」も違ってきます。

一般的に自社が法人相手に取引をしている場合、「BtoB」と言う言葉がよく使われます。
そのBtoB取引を行っていくには、「取引の規模」「取引の継続性」「利害関係の存在」と言った個人取引(BtoC)にはない「法人営業のあり方」を理解する必要があります。(詳しくは、法人営業を第一線でこなすための思考術①/BtoB取引編 を参照)

その「あり方」が見えてくると、今度は「やり方」が焦点になってきます。つまり、「企業担当者を目の前にして商談をどのように展開していくか?」ということです。

そこで今回は、法人営業において相手先企業(顧客)と「どう相対(あいたい)して受注獲得を目指していくか?」と言った商談展開におけるポイントなどを取り上げて見ましょう。

個人と法人の購買基準の違いとは?

企業とは、健全な経営や事業を行っていくために日々様々な形で商取引を展開しています。その中には、外部からモノを調達したり、サービスを受けたりすることも当然にあります。

そこで、気になることが一つあります。
それは、「企業の担当者はどのような思考で購買を考えているか?」です。
それにはまず、個人(つまり、一般消費者)がモノを購入したり、サービスを受けたりする際の目的と比較するとわかりやすいかもしれません。

個人の購買基準

個人の場合、モノの購入やサービスを受ける目的は、『個(本人)』 や 『家族』 を主体とした「ライフワーク」にあると言えます。

「いかに充実感(満足)を得られるか?」
「いかに豊かさを追求できるか?」
「いかに平穏無事に過ごせるか?」
「いかに自分らしさを見いだせるか?」
「いかに人に喜んでもらえるか?」
「いかにより良い人生を送れるか?」

と言ったように、ライフワークにおける「感性」が購買に大きな影響を与えています。その感性が何かをキッカケに「購買意欲」を沸き立たせ、時に理屈なしの「衝動買い」に走ることさえ珍しくありません。

企業の購買基準

では一方の企業(担当者)の場合はどうでしょうか?
一般的に「会社で何かを衝動買いしてしまった!」と言うことをあまり聞かないかと思います。(たぶん…?)

ではなぜ、企業は衝動買いしないのでしょうか?
この答えは簡単です。
それは、企業は根本的に個人がモノを購入する場合とは違う思考が働いているためで、「感性で物事を判断しない」からです。

では、何を基準に購買判断をしているかと言えば、ズバリ!「いかに自社の経営や事業にメリットがあるのか?」と言うことに他なりません。
その思考の大枠は、次の3つです。

「売り上げにいかに結びつくか?」
「業務の効率性や生産性をいかに高められるか?」
「コストダウンをいかに図れるか?」

この3つの大枠は「収益」に係るもので、すべて企業の普遍的な物事の判断基準であると言えます。
それに加え、近年の企業経営には、次に示す2つの基準が加わることもあるので覚えておくと良いでしょう。

「いかに(地域)社会に貢献できるか?」
「いかに(地球)環境に貢献できるか?」

このように企業は、モノの購入やサービスを利用しようとする際には、自社の「収益」「社会」「環境」のどこに作用するのかを常に考えているわけです。

そのメリットが十分にあると判断すれば、企業は多額の資金を投下してでも購入を決断するかもしれません。逆にメリットがないと判断すれば、たとえ1円足りともお金を払うことはしないでしょう。

簡単に言えば、「合理的に物事を捉えている」と言うことであり、個人のように「感性」で物事を判断しないと言うのはこんな理由からです。

従って、企業(法人)向けに営業(提案)を行っていく場合、相手がどのように物事を捉えているのかを把握することは非常に重要なことなのです。

その思考回路が見えてくると、今度は「商談をどのように展開させていくか?」に焦点が移ります。
そのようなことで、さらに法人営業の具体的な攻略法について掘り下げてみましょう。

法人営業/初回攻略

法人営業の客先は、おもに企業です。その客先である企業とは、個人とは違う独特の思考回路で物事を捉えています。

  • 企業は、「感性まかせの衝動買い」はしない
  • 企業が物事を判断する基準は「経営上のメリット」にある
  • 企業は、合理的に物事を考える

このような特性は、実際に商談を行う客先担当者に引き継がれており、その人個人とは違う「まったくの別人格」で提案の受入れや購買、導入の判断など、自身の職権の範囲で粛々と行っています。

これは、個人営業に見られる「泣き落とし」「お願い」「ゴリ押し」と言った「物売り手法」ではとても通用しないことを暗示しています。
言葉を変えると、「ビジネスライク」と言ったところでしょうか。
ビジネスライクとは、職業的、事務的、合理的、感情を優先させない姿勢でもあります。

では、商談相手となる客先担当者は、具体的にどのような視点で物事を捉えているのでしょうか?
大きな視点で言えば、次の2つに関心を寄せています。
一つ目は「提案者(売り手側企業)のこと」、二つ目は、その持ちかける「提案の内容」です。

自社紹介は飾りじゃない!

まず一つ目についてですが、特に、初めて取引を持ちかけようとする場合、客先担当者は「この営業担当者は一体どんな会社の人間なのか?」に焦点をあてています。

考えて見れば、BtoB取引の特性の一つが「取引の継続性」です。
客先である担当者は、この「継続性」の観点から、売り手側(提案者)の信頼性や関係性、将来の安定性など、様々な観点から初期段階で実態を掴もうとするのは当然のことでしょう。

「この会社はどんな会社か?」
「これまでの実績は?」
「この会社の信頼性は?」
「わが社との繋がり(利害関係者)は?」
「売り手側担当者の属性は?」
「この会社と取引する価値はどこにあるのか?」

このようなことから、売り手側である営業担当者は、まず自社のことを客先担当者にしっかり理解してもらわなければ、物事が始まらないということになります。

ですから、商談プロセスの初期段階で「自社紹介」というフェーズが必要なのはこのためなのです。
自社紹介とは決して形式的なものでなく、真の目的は「自社を正しく理解してもらうこと」に他なりません。

例え、誰もが知っている有名企業が売り手側だとしても、客先担当者が正しい認識を持っているかわかりません。

「自社は、どのように相手から思われているか?」
「自社をどのように思ってもらいたいか?」

このような視点から、自社紹介のあり方を再検証するのもアリかもしれませんね。

目指すべきは「刺さる提案」!

次に、二つ目の視点である「提案内容」についてみて見ましょう。

客先である担当者の視点には、「提案者(売り手企業)」と「その提案内容」の2点に注目していることをお伝えしました。
特に、新規取引を持ちかけるようなケースでは、「自社をどう認識してもらうか?」が重要であり、自社紹介を通じて正しく理解してもらうことが法人営業の基本です。

そこがクリアされると、今度は「提案の内容」に関心が移行します。
初期段階では客先担当者からの、いわゆるRFP(=提案依頼書)や特定の要請が既にある場合は別として、売り手側である営業担当者が持ちかける提案の意味がどこにあるのかを明確にしなければなりません。

つまり、「何のための提案なのか?」ということです。

ここがわからないと、客先担当者が「わが社の経営上どこに作用するものなのか?」が判断できず、よっぽどの暇か特別な利害関係でもない限り、その中身を詳しく聞くことはしないはずです。

次に、提案の中身を見てみましょう。

客先企業には、実に多くの提案があらゆる競合他社から持ちかけられていることを忘れてはなりません。一社独占、特命ならまだしも、フリー環境であれば常に「コンペ」の構図があると思って良いでしょう。

そこで、他社に見劣りする、もしくは、似たり寄ったりの中身では、これもまた、よっぽどの事情がない限り採用されることは困難です。

「その提案は、何が優れているのか?」
「その提案は、いつ、どんな時、どんな効果を発揮するのか?」
「実現できる確証(裏付け)はどこにあるのか?」

と言ったことを、相手先担当者に理解させることが重要になります。
そこで大事になるのは、「理解のさせ方」です。

先に示したとおり、法人は物事を感性(情)で捉えることはしません。
圧倒的に 「合理主義」「現実主義」 です。

つまり、提案が「夢物語の理想論」や「こうあるべきだ!」といくら語ったところで、受け入れてもらうことは困難でしょう。
ましてや、「ごまかし」や「まやかし」の提案では、まず通用しません。

では、提案攻略のポイントはどこにあるかです。

一つ言うなれば、「法人は、つじつまが合わないものは嫌う」と言う傾向があります。
わかりやすく言えば、「系統性」や「整合性」を見ています。

そうなると、提案者側は「論理性」を持って訴求するのが一番の攻略ポイントになります。

「何と何がどう紐付いているのか?」
「なぜ、そうなるのか?」
「それらの要素は、どこからきているのか?」

こういったロジックが「刺さる提案」の必須要件であると言えるでしょう。

法人営業の「こなし方」/まとめ

法人営業とは「企業間(BtoB)取引」を目指した活動を行っています。
ゆえに、法人営業をはじめる(行っている)皆さんは、まず「企業とは何か?」知っておくことが先決です。そのうえで、自社のシーズ領域をあぶり出し、ターゲットとなる客先のニーズ領域に照らし合せ、提案の切り口を複数持っておくと良いでしょう。
法人営業の担当者は、単なる「物売り思考」では通用しない職域です。
きちんと系統立て、論理的に物事を捉える思考を身につけることが法人営業をこなしていくポイントと言えるでしょう。

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