営業コンサルティングの本質的活用領域とは
とある日のこと、某メーカーの社長さんからこんな質問を受けたことがありました。
「営業コンサルタントの人って、本当に営業力があるんですか?」
確かに、はたから見ると「コンサルタントの価値は何なの?」と疑問に思うところがあるかもしれません。そこで、営業コンサルティングや営業代行と言った営業支援サービスについて、その活用用領域はどうなっているのか見てみることにしましょう。
実行部隊のマンパワーをどう活かせるか?
いわゆる営業代行や販路開拓などを行う営業支援サービス会社はよく見受けられます。まず、共通するのはどちらも「クライアントの営業活動を支援する点」と言えますが、その中で、いわゆる「営業コンサルティング」の領域は一体どこにあるかです。
有名なことわざに「水を与えるな、井戸の掘り方を教えよ!」と言うものがあります。
これは、発展途上の国や地域で干ばつに苦しむ人たちにどのような支援を行うことが良いのかを説いたものです。確かに、直面して飲み水を必要としている人たちに「水を直接与える」ことで、その場をしのぐことができるかもしれません。
しかし、飲み水が切れたら再び元の状態に戻ってしまうので、根本から解決に導くことが必要ですよ!と言っているわけです。
では、これらの要素を「営業支援」という形で置き換えて考えてみましょう。
まず、営業代行や販路開拓を利用する企業の多くは、自前で行うにはリソースが足りないがゆえに、営業活動の全部あるいは一部について外部の支援会社に「委託」して補うという、いわば実行部隊のマンパワー戦術の方法です。
しかし、それはある意味で大きく2つの課題が見えてきます。
まず、一つ目は「外部のマンパワーがいなくなった場合、自社に何が残されるのか?」という課題です。つまりは、先ほどのことわざで言うと「水」の部分が「外部のマンパワー」に当たりますので、マンパワーが切れたら元の形の戻ってしまうのでは?という懸念が浮上するわけです。
そして、2つ目は「外部のマンパワーを活かせるベースが用意されているのか?」という点です。
これは、逆に考えると「ベースが出来ていなければマンパワーが活かしきれない」と言うことになります。
この「ベース」とは何を意味するのかというと、営業活動を行ううえでのプロセスだったり、戦略ツールやアイテム、仕掛け(フック)の用意だったり、そもそも論として自社の事業戦略がきちんと内外に示せる形が出来ているのか?ということです。
営業コンサルティングの本質的な領域とは
営業のマンパワーは、行動力や実行力が求められることは確かです。
しかし、それは「走り出せるベース」があってこそ威力が発揮できるわけです。
- 自社の競争力の源泉は何なのか?
- 他社と何が違うのか?優位性は?
- どんな市場を狙うのか?攻略法は?
- ツールやアイテムはどうするのか?
- 何がニーズで何がシーズなのか?
- どのようなプロセスで実行するのか? etc
このような要素も一緒くたに、実行部隊であるマンパワーに委ねるのは、おすすめできません。
なぜなならば、これらは「自社の聖域」となる要素だからです。
営業の全体像で言えば、まさしく「上流」の部分です。
実は、営業コンサルティングを行うコンサルタントは、この「上流」と「プロセス」に着目しています。言い換えると、実行部隊であるマンパワーを活かし、成果の最大化に結びつけるための「体制基盤づくり」を支援することが営業コンサルティングの領域というわけです。
営業コンサルティングの活用方法とは
これまでお伝えした内容を一旦まとめましょう。
- 内部でも外部でもマンパワーを活かすには「ベース」が大事になる
- そのベースは「自社が行う聖域=上流」である
- 営業コンサルティングは「上流」と「プロセス」に着目する
- ベースとなる「体制基盤づくり」を支援するのが営業コンサルティングの領域である
こうして定義してみると、冒頭の「営業コンサルタントの人って、本当に営業力があるんですか?」という質問の“解”が見えてきます。
つまり、営業力を「現場のマンパワー」として捉えると、そもそも営業コンサルタントの活用領域とは異なると言うことになります。
営業コンサルティングとは「自社の聖域となる部分」をより強固に、確実性を高めるために外部の見識、知見、ノウハウを活用するための方策の一つと言えます。
また、企業経営には「一過性の効果」も時として必要ですが、大事なのは持続的な収益構造をつくりあげることです。
そういった意味でも、たとえ外部のマンパワーを活用したとしても、そこから得られるナレッジを抽出し、さらに確度の高い事業戦略を再構築できるような仕組みづくりにも営業コンサルティングは有効な手立てになります。
まとめ
このように、営業コンサルティングと営業代行などの外部マンパワーの活用領域は、密接に関わりがありますが、それぞれの視点が異なりますので、外部委託を考える際には、そのあたりを見据えておくと良いでしょう。