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営業の定石論

「コンサルティング営業」という職域は何が要求されるのか?

コンサルティング営業

「コンサルティング営業スタッフ募集中!」
求人広告に目を通してみると、必ずと言って良いほどお目見えする営業や販売職に関連した求人募集です。業界的にも「保険」「不動産」「IT」「人材」「美容」など、様々な企業でポストが用意されているようです。
しかし、「営業スタッフ募集」としないのは何故でしょうか?
単に、かっこよく見せるため?
いやいや、おそらく営業だけに留まらない「何か」が要求されるからでしょう。
そこで今回は、コンサルティング事業を生業とする当社の視点で「コンサルティング営業の本質」について追求してみたいと思います。

そもそも「コンサルティング」とは何か?

いわゆる「コンサルティング」の一般的な定義は、「相談、指導、診断、助言」などの行為のように解釈されています。
こう言われると何となく分かりますが、一方で漠然としてピンとこないと言う方も少なからずいるはずです。

そこで、それらの行為に「員(いん)」をつけてみるとどうでしょう?
「相談員」「指導員」「診断員」「助言員」
お!少しイメージが出てきましたかね。

では次に、これら「~員」という肩書を持った方の共通点を考えてみましょう。
まず、これらの行為が出来るためには、何が必要なのかです。
例えば、相談員です。
相談員は、相談を受けたい方(相談者)に対して相談内容を聞き、何らかの方向に導いたり、指し示したりします。

相談員がそのような行為をするためには、相談者にはない経験や知見、見識などを持っている必要があります。もちろん、相談員だけでなく、他の指導員、診断員、助言員もある意味で同じことが言えます。

そう考えると、「コンサルティング」という性質が見えてきましたね。
つまり、コンサルティングとは「豊富で確かな経験に裏打ちされ、専門的な知見、見識を駆使し、あるべき方向性を指南する行為」と言うことになります。

営業におけるコンサルティングとは

コンサルティングの性質が何となく見えてきたかと思いますが、では営業職とコンサルティングがどう結び付くのか、今一つシックリきません。
ここからは、営業という世界でコンサルティングの必要性や事例など交えて考えていきましょう。

まずは、コンサルティング営業を多く採用する生命保険セールスを例に、相談者とのやり取りから見てください。

(ケース事例)

相談者Aさんが自分の生命保険について見直したいと思い、とある生命保険会社からパンフレットを取り寄せました。
数日後、パンフレットが届いたので早速中身を見てみると…
「驚愕!」
終身保険?養老保険?医療保険?がん保険?さらに幾つもの特約???
あまりにプランが複雑すぎて、さっぱりわからない!
携帯電話の料金プランも複雑だが、生保のプランも同等かそれ以上に難解。
「さて困った、自分にとって最適なプランはどれか?…」

Aさんは、パンフレットをめくりながら「あるページ」に目が留まりました。
「あるページ」とは、保険金が支払われたケース事例が掲載してあるページです。

「○○プラン:ガンが見つかり手術して入院×日だった場合、受取り保険金合計△△円」

Aさんはこれを見て疑問に思ったそうです。
確かに、これで「いくら保険金が受け取れるか」はわかる。
しかし、「実際にかかる医療費は、どのくらいなのか?」「その医療費は、保険金で全額まかなえるのか?」「まかなえないなら、どのくらい自己負担が必要になるのか?」といった、保険金に対比する医療費相場が書かれていなかったことです。

「これじゃあ、何を目安に保険金額やプランを決めて良いかわからない!」
そう思ったAさんは、早速、保険会社の担当者に相談することにしました。

(保険担当者とAさんのやり取り)

Aさん:「あの~、一つ聞いていいですか?」
担当者:「はい、どんなことでしょうか?」

Aさん:「○ページのケース事例ですが、医療費が書かれていないですよね?」
担当者:「えぇ、確かに」

Aさん:「このケース事例では、医療費はいくら位かかるものなんですか?」
担当者:「それは、色々なケースがあるので一概にいくらとは申し上げられないんです」

Aさん:「ん?いや、そうじゃなくて、ここに掲載してあるケースの場合でいいんですが」
担当者:「…少々お待ちください、上の者に聞いてみます」
(数分後)
担当者:「すみません、ハッキリした金額はちょっと申し上げられないんです」
Aさん:「はい?私は書いてあるケースでの医療費相場がわかればいいんですが…」

担当者:「すみません、これはお客様の声として参考にさせていただきます」
Aさん:「いやいや、そうじゃなくって、何かわかる方法はないんですか?」

担当者:「ええ…」
Aさん:「これ御社が作ったパンフではないんですか?」

担当者:「・・・」
Aさん:「このケースでの元の資料やデータはないんですか?」

担当者:「そういったものが…」
Aさん:「でしたら、このケースじゃなくても何か医療費相場がわかるものはありませんか?」

担当者:「あるかもしれません…」
Aさん:「じゃあ、何か知りませんが、それを調べれば分からないですか?」

担当者:「そうですね…、申し訳ないですが、そうしていただけますか…」
Aさん:「はぃ?…」 ← (心の声:あぁ~自分で調べろってか、もう結構!)

と、Aさんは保険会社の担当者とやり取りを繰り広げたそうです。
では次から、Aさんの事例を参考に「コンサルティング営業の狙い」について迫ってみましょう。

コンサルティングの狙いとは

世の中には、様々なモノ(商品・サービス)が溢れています。
一つの商品カテゴリーを見ても、種類、グレード、パターン、コースなどが用意されていることも多々あります。
もちろん、提供価格、サービス内容も様々です。

大衆化されたモノ、誰もが周知のモノ、単純で安価なモノなら自分(お客さん)自身で選ぶことは容易かもしれません。
しかし、複雑なモノ、高額なモノ、リスクが大きなモノなどは、「こんなことがしたい、こんなモノがほしい!」と思っているのに、「自分にとって何が最適なのかがわからない」ことも多々あるわけです。

では、売り手はそれをどうやって解決してあげるのでしょうか?
そう!「コンサルティング」を行うことで解決に導いていくわけです。

コンサルティングのゴールとは、「お客さんが自ら判断できるようにすること」が当社の見解です。
そのためには、お客さんの事情をしっかり把握しなければなりません。
つまり、「相手を知る」と言うことです。

  • お客さんは何をしたがっているのか?
  • なぜ、それが必要なのか?
  • 購入後、どんな姿・形をイメージしているか?
  • 何をもって『良し』と考えるのか?
  • どのくらいの予算で実現させたいのか?

このようなことをしっかり把握し、根拠としながら、専門家としての経験、知見、見識から最適なモノを絞り込んであげるわけです。

また、お客さん自身が選べるようにするためには、「判断材料の提供」も重要になります。
判断材料とは、情報、データ、導入実績、活用事例などです。

先に取り上げた保険担当者とAさんのケースでもお分かりだと思いますが、お客さんに十分な判断材料を提供できないようでは「コンサルティングとしての資質」を問われても仕方がありません。
お客さん自らが理解し、納得して選んでもらえることこそがコンサルティングの狙いなのですから。

コンサルティングの進め方は?

コンサルティングの狙いがある程度理解できたところで、今度はどんな形で進めていくかです。

まず、売り手の商品やサービスの内容についてお客さんにしっかり理解してもらうことが大前提になります。しかし、お客さんが理解していたとしても、購入や発注に「迷い」や「ためらい」があるかもしれません。
そんな時は、売り手側が商品やサービスを頭から決め込むのではなく、

「AプランとBプランならどちらがよろしいですか?」
「CプランとDプランだったらどっちがいいですか?」
「では、AプランとDプランだったらどうですか?」

というように、お客さんに比較、選択させながら絞り込んでもらう方法も有効な手立てです。このようにしていくことで、「売り手に決めさせられた」ということではなく「自分で決められた」という納得感が得られると言うわけです。

「コンサルティング+営業」の真髄とは/まとめ

ここまでお伝えしたように『コンサルティング営業』とは、単にモノを売る販売員ではないことがご理解いただけたかと思います。
だからと言って、単に相談員や指導員、診断員、助言員だけに留まってもいけません。

「コンサルティング」と言う行為に加え「+営業」がくっ付く以上は、受注獲得を目指していかなくてはならないのです。
つまり、コンサルティングという行為を行いながら、お客さん自らが判断できるようにし、最終的に自社の収益に貢献していくことこそコンサルティング営業の真髄と言うわけです。

自社の売りモノが「お客さん自らで判断できるのか?」を出発点に、あらためて営業手法を見直してみてはいかがでしょうか。

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