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営業コンサルティングの真髄

営業コンサルタントがひも解く“営業戦略”の基本的考え方と定石論

営業戦略の定石

戦略って何?

「我が社の経営戦略は…」
「君は、どんなチャネル戦略を考えているの?」
「よし、ペネトレーション戦略で攻略するぞ!」

このように、ビジネスの世界には「戦略」という言葉がいたるところで飛び交っています。

そもそも戦略という言葉は軍事用語として使われていましたが、ビジネスに好んで使われていることを考えると、まさに「ビジネス=戦(いくさ)」と言う認識を持っているからかもしれません。

そう考えれば当然、ビジネスは「勝つ」ことが至上命題とも言えます。
「どうしたら戦いに勝てるのか?その策略は?方策は?」まさに、この『勝策』を打ち出すことが戦略というわけです。

営業戦略を企てる3つの要諦

では、ここからビジネス(=営業)という形で戦略について考えてみましょう。
営業を戦(いくさ)として捉えるならば、まず、「戦いの場(つまり、主戦場)」を考えることが先決です。

では営業の主戦場とは、一体どこなのでしょうか?
もうお分かりですね、それは「市場」の何ものでもありません。
しかし、ひとえに市場と言ってもあまりに漠然としてピンと来ないかもしれません。それもそのはず、世の中には、数えきれないくらいの多種多様な「市場」が存在するからです。

しかしながら、もし自社が何らかの事業を展開するならば、それらの市場すべてを「戦いの場」に選ぶことは現実的ではありません。ボクシングの世界で例えると、ヘビー級からミニマム級まで一人で全階級の世界チャンピオンを目指すことと同じだからです。

このようなことから「自社はどこを戦う場とするか?」、まずは、ここが非常に重要な視点になるわけです。(ビジネス用語では、これを「戦略ドメイン」という言葉が使われたりします。)

当然、戦うからには少しでも勝算」が見込めることが市場を特定するための定石と言えます。
そのためには、根本的に戦うための要素をあぶり出すことが必要で、中でも重要なのは「ニーズ」「シーズ」「スキーム」の3つの要素になります。

ニーズ(=needs)とは、「何が必要なのか?」「何を求めるのか?」という市場欲求からあらわれる購買需要を意味します。

シーズ(=seeds)とは、「何がしたいのか?」「何ができるのか?」から物事を発想させ、自社商材(商品・サービス)として実体化したものです。

スキーム(=scheme)とは、「どのようにニーズとシーズを結びつけるのか?」を表した枠組みになります。

「ニーズ」と「シーズ」そして「スキーム」。
営業戦略を策定するためには、この3つの要素を見定め、さらに具現化に向けて「絵図」を描いていくことになります。

市場の構図を押さえるべし!

では、ここまでの「戦略」について一旦取りまとめましょう。

  • ビジネスは「戦(いくさ)」として認識されている
  • 戦略とは、戦いに勝つために策略を図ることである
  • ビジネス(営業)戦略の主戦場は「市場」である
  • 市場の特定は「ニーズ」「シーズ」「スキーム」が重要な要素になる

このようなことから、自社の主戦場、つまり「市場」を突き詰めていくことになりますが、その際にもう一つ重要になるのが、「市場の構図」をしっかり捉えることです。

どんな市場でも共通する構図があり、そこを見極めることで今後のビジネス展開が大きく変わってきます。
その構図を捉える際に活用すべきなのが「3C」と言われるフレームワークです。

3Cとは、自社(=Company)顧客(=Customer)競合(=Competitor)の頭文字を取った呼称です。
ここでポイントになるのは、「自社 ⇔ 顧客」という関係以外に「競合」という要素が加わり、三つ巴(どもえ)の構図が出来上がっていることです。これは、『 自社を知り、顧客を知り、競合を知らなければ戦いに勝つことができない 』 ことを意味しています。

自社が参入する市場とは、言ってみれば「自社のシーズ要件にマッチするであろう顧客ニーズ集団」とも言えます。しかし、他社も同じようなシーズ要件を満たしていれば、当然、自社と同じように「その市場」を狙ってくるか、もう既に参入しているはずです。
これが、「市場競争原理」が働く要因です。
そうなると、市場の中で一人の顧客をめぐり奪い合いが繰り広げられることになります。
これが、「市場シェア争い」と言われるものです。

市場とは、その規模や成長率は様々です。
もし、参入する市場がどんどん拡大するような状態であれば、例え一回戦で敗れたとしても、次の戦いでリベンジするチャンスは残されています。逆に、飽和状態や成長率が鈍化している市場ですと、次のチャンスを待っている間に、どんどん他社にシェアを奪われてしまうことになります。

わが社は、どの市場を狙うべきか?

争いを避けたいのであれば、今後成長が見込める新興市場やブルーオーシャン市場に狙いを定めて、自社シーズ要件を整えればいいのではないか?と考えることもできます。

確かにそれは言えます。

しかし、今はブルーオーシャンだが「うま味」がある市場になれば、間もなく多くのプレイヤーが参入し、レッドオーシャン化する可能性は高いと言えます。
いずれにせよ、遅かれ早かれ「競争原理は常に働くもの」と思って良いでしょう。

では、競争優位に立つためにはどうしたら良いのでしょうか?
一つあげるとすると、「他社より優位な武器(=競争アイテム)を持つこと」です。

考えてみれば当然の話ですが、競争市場で武器を持たず「丸腰」で挑んでも勝つことは難しいと言えます。そのようなことから、「市場における競争優位な戦い方」について更に突き詰めていく必要があるわけです。

市場競争アイテムを磨き上げる

ここまでお伝えした「市場の構図」をまとめると次のようになります。

  • 市場の構図は、「自社」「顧客」「競合」の三つ巴であること
  • 三つ巴の構図には「市場競争原理」が働いていること
  • 競争優位に立つためには「勝てる武器」を持ち、磨き上げること

自社が参入する市場とは、まさしく自社が生き残り、繁栄できる要素があるからこそ戦いに挑む価値があるわけです。
ただし、市場での戦いは格闘技の試合とは違い、敵(=競合他社)に対して直接ダメージを与えるものではありません。
「市場で勝つ」というのは、顧客から「選ばれること」が証しとなります。

そこで重要になるのは「戦う武器(=競争アイテム)」と言うわけです。
競争アイテムが強ければ強いほど、顧客から選ばれる可能性が高くなります。
ゆえに「自社の競争優位性とは何か?」「顧客から選ばれる要素はどこあるのか?」を突き詰める必要があるわけです。
そこで参考にしていただきたいのが、次の3つの質問です。

【質問】目の前の顧客から次の質問をされたら、あなたの会社ならどう答えますか?

  1. あなたの会社の商品・サービスの価値は何ですか?
  2. あなたの会社を選ぶべき理由はどこにありますか?
  3. 他社を選んだ方が良い場合はどんなことですか?

もし、この質問に簡潔に答えられ、かつ、エビデンスが提示でき、顧客が納得することができれば、それが「自社の競争アイテム」に値するものかもしれません。

ちなみに3.「他社を選んだ方が良い場合は?」の質問の意図は「他社の競争アイテムが何であるか?」を知る必要があるからです。

競争アイテムは、他社よりも優れ勝算が見込めることは自社も他社も考え方は同じです。
もしも、他社が自社よりも競争優位な点で顧客に訴求してきたら、同じ土俵で勝負しても勝ち目はありません。
だからこそ、自社が勝負できる土俵が重要になるわけです。

戦略は「選択」と「集中」/まとめ

このように、自社が営業戦略を企てるには、世の中のニーズをくみ取り、自社のシーズに照らし合せ、参入市場を見極めなくてはなりません。

しかし、市場には「自社⇔顧客⇔競合他社」という3つ巴の構図が常に存在します。
市場で勝つと言うのは、顧客から選ばれること指しています。
選ばれるためには、顧客にとってより魅力的な競争アイテムを持ち、自社が勝負できる土俵をしっかり築き上げることが必要です。

言い換えると、「自社の土俵にあがった顧客は、絶対に取りこぼさないこと」「勝ち目がない土俵を見極めること」が市場で戦うセオリーとも言えます。

「何を取るべきか?」
「捨てても良いものは何か?」

まさに営業戦略は「選択と集中」が生命線になることは間違いないところでしょう。

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