「出来る営業」と「出来ない営業」のマインドは何が違うのか?
「是非、研修でわが社の営業マン達にマインドを注入してくれませんか!」
営業部門を強化したい企業担当者において、昔からこんな要望が根強くあります。
『営業マインド』…
改めて考えてみると、この言葉自体は抽象的な表現に思えます。
マインドとは、「意識」や「精神」などを意味していますが、どちらかと言うと「あり方」や「自覚」と捉えるほうがしっくりくるかもしれません。
「あり方」とは、物事に対する認識や捉え方の適正な状態を確立させること、そして「自覚」とは、自己の立ち位置を悟り、行動に紐つけることです。
そこで「あり方」や「自覚」に「営業」と言う言葉を加えると「営業マインド」となるわけです。
そのようなことで、今回は「営業」とその「マインド」は一体どのようにひも付いているのか考察してみることにします。
あらためて「営業」とは何?
営業活動とは、言い換えると「収益を生み出すための活動そのものである」と言えます。
収益とは、会社が維持、繁栄するための生命線です。
「収益=利益=儲(もう)け」
つまり、「もうけを出す」ことが営業にとって至上命題なのです。
しかも、単発的ではなく「持続的」に儲け続けなければならないのです。
では、どれくらいやれば(儲ければ)良いのでしょうか?
「そりぁ、儲けられればいくらでも良いに決まってるじゃん!愚問だよ君!」
と、思う方もいることでしょう。
ただ、間違いでありませんが、これでは非常にアバウトではっきりした指標がわかりません。ですから、大半の企業では所属部門(チーム)や個々に割り振られた「達成目標(=タスク、ノルマ)」が、それを指し示すわけです。
つまりは、「目標を達成させること!」
これだから営業は、非常にわかりやすい職域であると言えます。
しかし、目標を持続的に達成させることはいかに容易でないことは、営業職の皆さんなら身に染みて分かっておられることでしょう。
それを根本から支えるのが、個々の「営業マインド」と言うわけなのです。
マインドのあり方次第では、時として「出来る営業」と「出来ない営業」を決定づける岐路になり得えます。
そこで、「出来る」「出来ない」それぞれのマインドの違いがどのようなものなのかを見ることにしましょう。
出来ない営業のマインドとは?
よく「売れない営業」=「出来ない営業」と評価されがちですが、一概にそうとは言い切れません。この評価の分かれ目は「自分自身が自分に対してどう向き合っているか?」が大きなポイントと言えそうです。
この向き合い方次第で、出来ない営業から脱却することはいつでも可能になりますし、逆にいつまでも脱却を図れないこともあります。
まず、脱却を図れない阻害要因の一つが「プライド」です。
プライドは、すなわち「自尊心」とも表現できますが、ようするに「自分を大切にする気持ち」ということです。
もちろん、自分を大切にしたり、自分を守る気持ちに対して何も否定することはありませんが、それが強く表れる人は「営業」というフィールドでは大きなネックになる要素を秘めています。
「千三つ(せんみつ)」という言葉をご存知でしょうか?
ビジネスの世界では、「1000に3つの確率でしか話がまとまらない」という意味で不動産業界などでは良く使われたりします。
1000に3つの確率ですから、逆に考えると997はうまく行かない、つまりは「失敗」ということになります。
これは、どんな業界にも言えることですが、営業とは「失敗の連続」で行っている活動と言えます。
人間ですから、失敗は気持ち良いものではありませんし、失敗したくないという気持ちも理解できます。
しかし、自尊心が強く表れると、失敗を恐れるあまり物事に躊躇(ちゅうちょ)したり、消極的な行動が目立つようになります。さらに、それらを内外に向けて正当化させようと防御反応や時に反発行動さえ表れることも珍しくありません。
このような「あり方」で営業に取り組んでいれば、おのずと結果は見えてくるのではないでしょうか。
出来る営業のマインドとは?
では、出来る営業のマインドとは一体どのようなものなのでしょうか?
一つ強調しておきますが、出来る営業の皆さんも「失敗の連続」の中で活動していることを忘れてはなりません。
だったら、失敗を恐れ、何かに躊躇したり、消極的な行動をしているかと言えば、そんなことはありません。
では、出来る営業の人たちは一体どのようなマインドで営業に取り組んでいるのか気になるところですね。
まず、出来ない営業と出来る営業のマインドの根本的な違いは、まさに「読んで字の如し」で、何かに取り組む際に、出来ない営業は「出来ない理由」を探索し、出来る営業は「どうしたら出来るか?」を追求しているわけです。
例えば、取引先や見込客から時として無理難題な条件を提示されたり、自ら提示した条件に対し相手方から受け入れてもらえないこともあるでしょう。
その時に、出来ない営業は「これは難しい」、「これでは無理」と思えば、それ以上のことを考えて行動に移すことはほとんどありません。
その結果、案件がまとまらなくても「相手がそう言っているならしょうがない」、「上(上司)が承認しなかったから自分のせいじゃない」など、出来ない(出来なかった)理由を探索するわけです。
一方の出来る営業の捉え方は少し違います。
当初の「これは難しい」、「これでは無理」と言うところまでは同じかもしれませんが、そのあとに出来る営業のマインドは「どうしたら出来るようになるか?」という思考に切り替わるのです。
そうすると自然に「難しい」、「無理」という前提を見つめ直すことになります。
「これが難しいなら、どうなったら難しくなくなるのか?」
「これで無理なら、どうすれば無理ではなくなるのか?」
この発想のもと、「じゃぁ、こうしたらどうなのか?」、「こうすれば出来るのではないか?」という仮説思考が生まれ、文字通り「出来るための行動と検証」に移行すると言うわけです。
出来るマインドを形成するために/まとめ
このように、マインドのあり方ひとつで、行動の違いは当然に結果に導かれます。
ことさら営業というフィールドに立つことを考えれば、「どうすれば出来るか?」という思考を持つことは欠かせない要素と言えます。
しかし、「出来ないマインド」がベースになっている人は、「どうすれば出来るかという発想をモテ!」と言っても、そう簡単にいきません。
何故ならば「三つ子の魂百まで」という格言が示すとおり、一旦形成されたマインドを切り替えることは並大抵ではないからです。
では、どうすれば良いかですが、まず言えるのは、「当の本人がそれに気づくこと」、つまりは「自覚すること」がスタートです。
そこから、常日頃「出来るための仮説思考」を意識した生活を送り、少しづつでも「習慣化させる」ことが必要かと思います。
また、「出来るマインド」を取り込む機会をつくる「マインド研修」も有効な手立てに成りうるかもしれませんね。